「軽く考えていませんか?輸出規制違反のリスク」

~水上バイク不正輸出事件から考える外為法コンプライアンス~

最近、大阪で気になるニュースがありました。
水上バイクの不正輸出で逮捕者が出たのです。
「えっ、水上バイク程度で?」と思われた方もいるかもしれません。
しかし、これは輸出に携わる企業すべてが真剣に受け止めるべき事例です。

事件の概要と重要なポイント

本件では、ロシアへの輸出が規制されている水上バイクとエンジンを、韓国経由で輸出したことが外為法違反に問われています。特に注目すべきは以下の点です:

  • 輸出額:約4,000万円
  • 輸出ルート:日本→韓国(釜山)→ロシア(ウラジオストク)
  • 売上推移:前年度比2.5倍増(約23億円)

「迂回輸出で見つからないだろう」「水上バイクくらいなら…」という考えが、大きなリスクを招いた例といえます。

なぜ、このケースが重要なのか?

20年以上、輸出実務に携わってきた私の経験から、このケースの重要性について解説させていただきます。

1. 「知らなかった」は通用しない

外為法違反には、最大で法人に10億円、個人に3,000万円の罰金が科されます。
さらに、10年以下の懲役も。これは決して軽い処罰ではありません。

2. 商品の価値ではなく、用途がポイント

水上バイクは「レジャー用品」と思われがちですが、軍事転用の可能性から規制対象となっています。
実は、身近な製品でも規制対象となるケースは少なくありません。

3. 売上増加は要注意シグナル

本件では経済制裁後に売上が2.5倍に増加しています。
これは当局から見れば、明確な疑念を招く要素です。

企業として何をすべきか?

輸出前の3つのチェックポイント

  • 最新の規制情報の確認
  • 規制リストは定期的に更新されます
  • 特に経済制裁国向けは要注意
  • 取引先の審査
  • エンドユーザーの確認
  • 迂回輸出の可能性チェック
  • 社内体制の整備
  • 輸出管理規程の整備
  • 定期的な研修実施

予防は可能です

実は、適切な準備と体制があれば、このようなリスクは十分に防ぐことができます。

最近、ある中小企業の経営者の方とお話しする機会がありました。
「輸出管理なんて、うちみたいな小さい会社には関係ないと思っていた」と
おっしゃっていましたが、実際に内容を確認してみると、複数の要注意案件が見つかりました。

幸い、事前に対策を講じることで、大きなトラブルを未然に防ぐことができました。

最後に

輸出規制は、一見複雑で分かりにくく見えます。
しかし、正しい知識と適切なサポートがあれば、決して越えられない壁ではありません。

「知らなかった」
「気づかなかった」は、もはや通用しない時代です。
しかし、だからこそ、事前の対策で防げるリスクも多いのです。

輸出管理でお悩みの方は、まずはご相談ください。無料相談では、あなたの事業における具体的なリスクと対策について、実務経験に基づいたアドバイスをさせていただきます。

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追記:本件に関する最新情報や、輸出規制に関する詳しい解説をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。